
立川から特急に飛び乗り一時間。
考えてみると都心に通う時間ぐらいの距離に、温泉やらなにやら、まあいろんな観光地がある。
山梨県の人には申し訳ないけど、仕事の縁がないということもあり、普段の自分のイメージマップからは確実に山梨県が欠落していて、
西の方角へ向かうとすぐに長野県のような錯覚に陥ってしまう僕をお許し下さい。
かつてはよく鈍行列車の旅をして、建築巡りなどもしていたのだけど、甲府の印象がどうしても思い出せないのだ。
でもこの作品。丹下ケンゾーの「山梨文化会館」が何はともあれ山梨で一番秀逸な建物だと思う。
メタボリズムの思想を具現化した建物のなかでは一番洗練されていて、
間違いなく自分より長い時間を生きているのに古さを感じさせない。
中に階段等が入った大きなコア柱に支えられたそれぞれのフロアは、
まるで積み木のように後から増築が可能で、実際に後から増築された部分があるはずだ。
メタボリ、というと、僕のことですか?と聞き返してしまう今日この頃、
メタボリズムという究極フレキシブルな建物の思想は、
すっかり過去のものとなってしまってはいるけど、
再度リバイバルするような気がしてならない今日この頃なのだ。